安定型混合廃棄物とは安定型最終処分場で処分できる5品目のうち、2種類以上が混ざり、容易に分別できない産業廃棄物です。
一方、木くずや紙くずが混ざったもの、安定型以外の物質が付着したもの、廃石膏ボードは安定型として扱えません。
分類を誤ると、搬入先での受入拒否や再分別が発生し、追加の処理費用だけでなく、工事現場からの搬出が遅れる原因です。
本記事では、安定5品目、管理型・建設混合との違い、判断方法、処分の流れ、費用、委託契約書とマニフェストの確認事項を解説します。
【参考】
安定型混合廃棄物とは?押さえておきたい2つの基本

安定5品目のうち2種類以上が混ざった廃棄物
安定型混合廃棄物は、廃プラスチック類や金属くずなど、安定5品目に属する複数の産業廃棄物が、一つの容器などに混ざった状態を指します。
具体例は解体工事で発生したコンクリート片、廃プラスチック類、金属片を、一つのコンテナへ入れて搬出するケースです。
分別が難しい場合に使われる実務上の呼称
安定型混合廃棄物は、廃棄物処理法で定められた20種類の名称ではなく、複数の安定型産業廃棄物が混ざった状態を表す呼び方です。
電子マニフェストを運営するJWNETでは、どうしても分別できない場合に限って混合廃棄物を選択するよう案内しています。
安定型混合廃棄物を構成する5品目と具体例
環境省の通知では、天然ゴムのくずを「ゴムくず」、建設工事で生じたコンクリート片などを「がれき類」に分類しています。
| 品目 | 代表例 |
|---|---|
| 廃プラスチック類 | 合成樹脂の端材、ビニールシート、発泡スチロール、合成ゴムくず |
| ゴムくず | 天然ゴムの切断くず、天然ゴム製品の端材 |
| 金属くず | 鉄骨・鉄筋くず、金属の加工くず、足場パイプ |
| ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず | ガラスくず、耐火れんがくず、タイル、陶磁器くず |
| がれき類 | 建設工事で生じたコンクリート片、アスファルト・コンクリート片、れんが片 |
合成ゴムの端材はゴムくずではなく、廃プラスチック類に分類されます。
がれき類も建設現場から出た廃棄物全般を指すものではないため、ガラスや樹脂などは、それぞれの材質に応じて区分してください。
3種類の混合廃棄物を分ける判断基準

安定型と管理型は含まれる品目や付着物で分ける
安定型と管理型は、構成品目と付着物が安定型の受入条件に収まるかで分かれ、各品目の重量や容積の割合は区分に影響しません。
管理型最終処分場で処分する品目が一つでも含まれていれば、混合物全体が安定型の対象外です。
| 区分 | 判断基準 | 主な最終処分先 |
|---|---|---|
| 安定型混合廃棄物 | 安定5品目だけで構成され、対象外の物質が付着していない | 安定型最終処分場 |
| 管理型混合廃棄物 | 管理型最終処分場で処分する品目を含んでいる | 管理型最終処分場 |
国立環境研究所によると、管理型最終処分場は、遮水工や浸出水処理設備により、周辺の土壌や地下水への流出を防いでいます。
建設混合廃棄物は発生元で分ける
建設混合廃棄物は、工作物の新築・改築・除去などの建設工事で発生し、複数の品目が混ざった廃棄物を表す呼び方です。
建設混合は発生元、安定型と管理型は構成品目や付着物を基準にするため、並列の区分ではなく、一つの廃棄物に両方の区分が重なります。
工事で出たコンクリート片・金属くず・廃プラスチック類だけの混合物は「建設混合かつ安定型」となり、管理型の品目を含めば「建設混合かつ管理型」として扱ってください。
安定型に該当するか判断する3つの確認ポイント

発生工程と使用材料から廃棄物の品目を特定する
廃棄物がいつ、どこで、どの作業から出たのかを記録します。あわせて、もとの製品名や使われている材料を確認し、廃棄物の品目を判断してください。
設計図、製品ラベル、仕様書、安全データシートを照合し、資料がなければ材料を扱った作業員から聞き取ります。
材料や発生工程が分からない廃棄物はほかの品目から分け、確認できた情報を処理業者へ伝えて受入区分を確認してください。
木くず・紙くず・廃石膏ボードなどの混入を確認する
解体・内装工事では、紙、木製下地、壁紙や梱包材の破片が容器の隅やがれきの下へ入り込み、表面だけの点検では見落とします。
廃棄物を投入する段階で品目別の容器を使い、廃石膏ボードは割れて細かくなる前に、安定5品目から分けて保管してください。
積み込み後に対象外品目が見つかった場合は搬出を止め、再分別するか、処理業者と受入区分を確認してください。
油・塗料・泥の付着や対象外品目の有無を確認する
空き容器、機械部品、配管、がれき類は、表面だけでなく、内部や継ぎ目、底部に内容物が残っていないか調べます。
油、塗料、泥状物などの安定型以外の物質を除去できない場合は、材質が安定5品目でも安定型の対象外です。
環境省は、廃プリント配線板、廃ブラウン管、鉛蓄電池の電極などを、安定型産業廃棄物から除外しています。
対象外品目が見つかったら安定型の容器へ戻さず、製品名や付着物の状態を処理業者へ伝え、管理型など性状に合った区分で処理してください。
安定型混合廃棄物を処分する4段階の流れ
現場で分別して新たな混入を防ぎながら保管する
安定5品目を仕分けた後は、安定型混合専用の容器または区画へ保管し、「安定型混合」だけでなく構成品目も表示します。
保管場所には囲いと掲示板を設け、風雨による飛散・流出・地下浸透を防げる状態に整えてください。
群馬県の保管基準では、掲示板を縦横60cm以上とし、廃棄物の種類、管理者名、連絡先などを表示すると定めています。
搬出前に、対象外品目が混入していないか確認してください。
収集運搬業者が受入先へ搬入する
搬出前に、廃棄物の内訳と容器の種類や積み方を処理施設へ伝え、安定型混合廃棄物として受け入れられるか確認してください。
積み込み後は容器を固定し、ほかの廃棄物と仕切ったうえで、運搬中の飛散・流出や荷崩れを防ぎます。
環境省は、産業廃棄物の運搬車への表示と、廃棄物の種類や運搬先などを記載した書面の備え付けを定めています。
受入検査で事前情報との相違を指摘された場合は独断で荷下ろしせず、排出事業者と処理施設で再分別や処理先を協議してください。
中間処理施設で選別し、再資源化できるものを回収する
中間処理施設では、手作業のほか、ふるい、風力、磁力などを用いて、安定型産業廃棄物とそれ以外の廃棄物を選別します。
金属くずは金属原料、コンクリート片やアスファルト・コンクリート片は再生骨材や路盤材として活用されます。
埋立基準に適合する廃棄物を安定型最終処分場で処分する
選別後、再資源化できずに残った廃棄物のうち、安定5品目だけで構成され、対象外の物質が付着していないものが安定型最終処分場の搬入対象です。
処分場では、埋立前に廃棄物を広げて調べる展開検査を行い、選別時に見つからなかった対象外品目の有無を確認します。
環境省の通知では、展開検査で安定型以外の廃棄物の付着・混入が認められた年月日も記録対象です。
対象外品目が見つかった廃棄物は安定型として埋め立てず、該当品目を取り除くか、性状に対応した処理先へ送られます。
処理費用を確認する3つのポイント
料金単位と収集運搬費・処分費を含む範囲
処理料金は立方メートル、キログラム、トンなどで示されるため、予定数量による総額と、容積から重量へ換算する条件を確認してください。
見積書では、収集運搬費、処分費、容器代、積込作業費、選別費、最低料金、消費税の内訳を確認し、追加料金を含む総額を比較します。
品目・数量・積み方・運搬距離による料金の違い
処理料金は廃棄物の構成、総量、混ざり方、容器の種類、積み込み条件によって変動します。
がれき類が多いと総重量が増え、複数の材質が細かく混ざっていると選別に時間がかかるため、料金が上がります。
安定型以外の品目が見つかった場合は、安定型の見積もりを適用できず、管理型混合廃棄物などの区分で再見積もりとなります。
廃棄物をそのまま積むかフレコンバッグに入れるかといった積み方、車両の進入条件、運搬距離、有料道路の利用、運行回数まで処理業者へ伝えてください。
現場分別によって選別費や追加料金を抑える方法
発生場所で廃棄物を単品化すると、中間処理施設で仕分ける量が減り、混合廃棄物にかかる選別費を削減できます。
金属くずやコンクリート片を分けて再資源化へ回し、安定型以外の品目を取り除くことは、処理区分の変更防止にもつながります。
ただし、少量の廃棄物を品目ごとに別便で回収すると、車両台数や容器数が増え、分別前より総額が高くなる場合は逆効果です。
「単品と残りの混合物に分ける案」と「すべて混合物で出す案」の両方で見積もりを取り、収集運搬費を含む総額で選んでください。
処理委託で外せない3つの実務確認
処理業者の許可範囲と委託契約書
収集運搬業者は品目と積込み地・荷下ろし地、処分業者は品目と処理方法が、それぞれ許可範囲に含まれているか確認してください。
許可証の写しを基本資料とし、産廃情報ネットで許可期限や事業範囲などの登録情報も照合します。
環境省が示すとおり、廃棄物を引き渡す前に、収集運搬と処分の委託内容について書面による契約を交わしてください。
契約書には、混合物を構成する品目と数量、運搬先、処理方法、最終処分先、委託料金などを明記します。
2026年1月1日以降、該当する排出事業者が第一種指定化学物質を含む廃棄物を委託する場合は、物質名と量または割合も記載対象です。
マニフェストに記載する種類と内訳
東京都環境局の案内では、マニフェストは品目ごとの交付が原則ですが、一体不可分の混合物は1枚にまとめられます。
紙マニフェストでは該当する品目をすべて選び、「安定型混合廃棄物」などの名称と、各品目の内訳を記載します。
電子マニフェストでは「安定型混合廃棄物」を設定し、名称欄へ構成品目を入力して、委託契約書や引渡記録の内容とそろえてください。
JWNETによると、紙は引き渡しと同時に交付し、電子は引渡日と土日祝日などを数えず3日以内に登録します。
発生場所・数量・積み方・写真などの記録
搬出ごとに、工事名、発生場所、作業工程、構成品目、数量と単位、容器の種類や積み方、引渡日を同じ形式で記録します。
写真は保管開始時、搬出前、積み込み後に撮影し、容器全体と廃棄物の状態が分かる画像を管理番号にひも付けてください。
委託契約書は契約終了日から5年間保存し、紙マニフェストも5年間保管します。
写真と搬出記録も契約書、許可証、マニフェストと同じ案件単位でまとめ、受入内容に相違が生じた際や社内監査の説明資料として使ってください。
安定型混合廃棄物を適正に処理するための3つの要点
- ✅安定型として扱えるのは、安定5品目だけで構成され、対象外品目の混入や安定型以外の物質が付着していない混合物
- ✅発生工程と使用材料を確認し、品目別の保管、搬出前の点検、写真撮影によって、新たな混入と分類の取り違えを防ぐ
- ✅処理業者の許可範囲と委託契約書を照合し、マニフェストへ構成品目、数量、処理先を正確に反映する
判断できない廃棄物は搬出せず、内訳、発生工程、付着物、写真を処理業者へ伝えて受入区分を確定し、処理完了まで追跡してください。
安定型混合廃棄物に関するよくある質問
家庭のDIYで出た廃材も安定型混合廃棄物になりますか?
家庭で自ら行ったDIYの廃材は原則として一般廃棄物となり、安定型混合廃棄物には該当しません。
東広島市の案内でも、自己施工は一般廃棄物、業者が施工した場合は産業廃棄物としているため、処分前に自治体のルールを確認してください。
安定型混合廃棄物を排出事業者が自社で運搬できますか?
排出事業者が自ら排出した安定型混合廃棄物を自社車両で運ぶ場合、収集運搬業の許可は不要です。
ただし、群馬県が示す車両表示や書面携帯などの運搬基準を守り、子会社や下請け業者が運ぶ場合は許可を確認してください。
少量の安定型混合廃棄物でも回収を依頼できますか?
少量に対応する処理業者へ依頼できますが、最低料金や回収可能な数量は業者ごとに異なります。
札幌市が示すように、事業系廃棄物は少量でも家庭ごみとして出せないため、品目や数量を伝えて事前に見積もりを取ってください。
安定型混合廃棄物を破砕すると廃棄物の区分は変わりますか?
破砕しただけでは廃棄物の区分は変わらず、安定型の対象外品が安定型になることもありません。
焼却など別の処理によって燃え殻が生じる場合もあるため、島根県の記載例のように、処理後の品目と処分方法を確認してください。
安定型混合廃棄物の再資源化量はどのように確認できますか?
処理業者から受入量、再資源化した物の種類と量、最終処分量が分かる処理実績資料を受け取り、マニフェストと照合します。
電子マニフェストでは、JWNETの「再資源化等の情報」が入力されていれば確認でき、2027年4月から処分業者の入力が義務化されます。
【参考】














