事業で使用した業務用製氷機は家庭の粗大ごみで出せないので、所有形態と機器の状態に合った方法で処分してください。
リース品は契約内容に従って返却。自社所有品は買取、販売店への相談、譲渡など最適な処分方法を選ぶことです。
冷媒にフロン類を使用する機器を廃棄するときは、第一種フロン類充塡回収業者へ回収を依頼し、交付された引取証明書を保存します。
この記事では、5つの処分方法、費用の内訳、フロン回収の手順、処分業者を選ぶ際の確認項目を順番に解説します。
所有形態と状態で選ぶ業務用製氷機の5つの処分・手放し方

業務用として製造された製氷機は家電リサイクル法の対象品目に含まれず、家庭用の冷蔵庫や冷凍庫とは処分の流れが異なります。
故障した業務用製氷機なら必要な許可と処理体制を持つ業者へ依頼する
故障して査定がつかない業務用製氷機を処分するなら、産業廃棄物の処理に対応する業者へ依頼してください。
事業活動に伴って生じた廃棄物は排出事業者が処理責任を負うため、収集運搬と本体処分はそれぞれ該当する許可を持つ業者へ委託します。
取り外し、搬出、フロン回収、収集運搬、本体処分をまとめて任せられる業者なら、店舗側で複数の依頼先を手配する負担も抑えられます。
【参考】
年式・メーカー・状態によっては厨房機器買取業者へ査定を依頼する
製造年が新しく正常な業務用製氷機は、廃棄を依頼する前に厨房機器買取業者の査定を受けてください。
査定を申し込む際は、買取対象となる年式や故障品への対応を確認し、製氷機の情報や現在の動作状態を伝えます。
安全な範囲できれいにして付属品を揃え、複数社の査定額を比較して売却先を決めてください。
買い替えるなら販売店やメーカーへ引き取りを相談する
製氷機を買い替える場合は新しい機器の購入先へ、旧機の取り外しと回収まで依頼できるか契約前に確認してください。
対応していれば新機種と旧機の入れ替えを同じ日程で行えるため、別業者を手配する負担を減らせます。
メーカーや販売店によって他社製品や故障品も扱うか、条件が異なるため確認が必要です。
リース品なら契約内容を確認してリース会社へ返却する
購入品は請求書と固定資産台帳、リース品は契約書と月額料金の明細を照合し、業務用製氷機の所有者を確認してください。
リース品は店舗の判断で売却・廃棄・譲渡せず、契約先のリース会社へ返却方法を問い合わせます。
契約満了前に閉店や入れ替えを行う場合は、中途解約の可否と残額の精算方法を契約書で確認します。
リース会社が指定する回収業者に加え、取り外し・運搬費の負担者と返却日を契約先へ確認してください。
譲渡やネット販売で手放す
再利用できる業務用製氷機は知り合いへの譲渡、ネットオークションやフリマサイトでの販売も選択肢になります。
機器の状態や欠品、返品の可否に加え、取り外し・搬出・運搬の担当と費用負担を取引成立前に提示してください。
条件を先に提示することで買い手とのトラブルを防げます。
業務用製氷機を処分する前に確認する4つの項目

メーカー・型番・製造年・冷媒を銘板で確認する
本体に貼られた銘板を確認し、メーカー名、型番、製造番号、製造年、冷媒の種類と量を写真に残してください。
型番と製造年は査定や処分の見積もりに使い、冷媒の表示からフロン回収の対象かどうかを判断します。
銘板が劣化して読めないときは、本体全体と残っているラベルを撮影し、購入先またはメーカーへ機器情報を問い合わせてください。
参考:環境省「第一種特定製品の管理者等に関する運用の手引き 第2章 法律の対象」
製氷・給水・排水の状態と故障箇所を確認する
安全に通電できる状態なら取扱説明書に従って運転し、氷ができるか、給水と排水が滞りなく行われるかを確かめてください。
操作パネルのエラー表示、異音、強い振動、水漏れも調べ、点検した日と症状を写真や動画で残します。
電源コードの損傷、焦げたにおい、異常な発熱、電装部の水濡れなどを見つけた場合は電源を切って使用しないでください。
事故や冷媒漏れを防ぐため、本体の分解や自己修理は行わず、外側から確認できる範囲で点検を終えます。
閉店日や入れ替え日から処分期限を決める
処分期限は業者へ連絡する日ではなく、製氷機の取り外しと店舗からの搬出を完了する日として設定してください。
閉店時は物件の引き渡し日、買い替え時は新しい製氷機の設置日から逆算し、余裕をもって査定、見積もり、フロン回収、撤去の日程を組みます。
本体の寸法・重量・接続設備・搬出経路を確認する
取扱説明書やメーカーの仕様表を調べ、本体の大きさや重量、電源・給水管・排水管の接続状況を記録してください。
店舗の出入口と通路の最も狭い部分、エレベーターの出入口・内寸・積載量を測り、階段や段差の有無も確かめて回収業者に伝えること。
電源の直結配線や給排水管を外す作業は自分で行わず、対応できる設備業者へ依頼してください。
参考:ホシザキ「IM-90DM-1-ST 外形寸法・設置条件」
業務用製氷機の処分費用相場と5つの内訳

業務用製氷機の処分費用に全国共通の定額はなく、サイトなどで公開している料金では本体処分が1万2,000~2万円以上、フロン回収を含む作業が2万5,000~5万円程度です。
料金に含まれる作業範囲は業者ごとに異なるため、以下の金額は予算を立てる際の目安として確認してください。
| 作業内容 | サイトなどの公開料金から見た目安 |
|---|---|
| 製氷機本体の処分 | 1万2,000~2万円以上 |
| フロン回収を含む作業 | 2万5,000~5万円程度 |
【参考】
給排水管や電源を外すための撤去作業費
撤去作業費には、電源の切り離し、給水管の止水、排水管の取り外し、外した配管をふさぐ作業などが含まれます。
公開料金には3,000円からの例がありますが、コンセントを抜くだけでは外せない電源や、工具で取り外す固定配管があると追加の作業費がかかります。
配管をふさぐ作業や撤去跡の補修が見積もりに含まれるか、本体の処分費と分けて確認してください。
参考:快適空間「買取が出来なかった製氷機を1番安く捨てる方法とは?」
冷媒を適切に抜き取るためのフロン回収費
フロン回収費は、基本作業料に冷媒量に応じた回収・処理費、証明書作成費、出張費を加えた合計額です。
サイトなどで公開している料金では基本料金2万4,000円、回収費1kg当たり約1,500円〜3,000円、破壊・証明書費は約5,000~10,000円に交通費を加える例があります。
見積もりでは事前に調べた冷媒情報、機器の台数、店舗の所在地を伝え、追加料金を含む総額を出してもらいましょう。
参考:不用品回収のパワーセラー「製氷機はどう処分すべき?おすすめの処分方法5選」
店舗から処理施設まで運ぶ収集運搬費
車両で中間処理施設や処分場まで運ぶ区間には収集運搬費がかかります。
金額は運搬距離、使用する車両、製氷機の台数、高速道路料金、駐車料金などによって変わります。
撤去費や本体処分費とまとめて提示される場合は、収集運搬費が含まれているか見積書で確認してください。
参考:エコスペシャル「業務用製氷機の買取を断られた時の処分方法」
製氷機本体を処理するための処分費
本体処分費はフロン回収後の製氷機を産業廃棄物として引き取り、解体して金属やプラスチックに分別する工程の料金です。
製氷能力35kgタイプまでを1万9,800円とする例があり、本体の大きさや重量によって金額が変わります。
本体と貯氷庫が分かれた機種では別品として見積もる業者もあるため、貯氷庫や別置きの冷却装置まで料金に含むか確認してください。
参考:厨房ズfeat.ユー厨房「廃棄費 製氷機:35kgタイプまで」
階段・狭い通路・クレーン作業などの追加費用
階段搬出、エレベーターが使えない場所、搬出車両までの距離が長い店舗では、作業員の増員と壁・床の保護が追加料金の対象です。
出入口を通れず、業者による本体やカウンターの一部分解、クレーンでのつり下ろしを伴うと、機材費や人件費が上乗せされます。
早朝や夜間の作業でも金額が変わるため、標準料金が適用される時間帯と時間外料金を確認してください。
フロン使用製氷機を適正に廃棄する4つの手順
第一種フロン類充塡回収業者へ直接または専門業者を通じて依頼する
依頼窓口は充塡回収業者への直接依頼と、販売店・設備業者・処分業者を通じた手配の2通りです。
専門業者へ任せる場合は、登録を受けた第一種フロン類充塡回収業者が実際の回収を担当するか確認してください。
直接依頼する場合は、都道府県が公開する登録業者名簿で、登録状況と連絡先を確認して依頼先を選びます。
利用者自身で配管を切断したり冷媒を放出したりせず、フロンの抜き取りは登録業者へ任せてください。
【参考】
依頼方法に応じて回収依頼書か委託確認書を交付する
充塡回収業者へ直接依頼する場合は回収依頼書、販売店や設備業者などに手配を任せる場合は委託確認書を交付してください。
法定事項が記載されていれば様式は問われず、交付した書類の写しは3年間保存します。
委託先が別の事業者へ再委託するときは、製氷機を廃棄する事業者が再委託承諾書を交付します。
参考:環境省「第一種特定製品の管理者等に関する運用の手引き 第4章 フロン類の引渡し」
フロン回収後に引取証明書を受け取って保存する
フロン回収が終わったら、第一種フロン類充塡回収業者から引取証明書を受け取り、業者名、回収日、対象機器に誤りがないか確認してください。引取証明書もほかの回収関係書類とまとめて3年間保管します。
回収依頼書または委託確認書の交付から30日を過ぎても届かない場合は、依頼先へ状況を尋ね、未交付の旨を都道府県知事へ報告してください。
参考:環境省・経済産業省「フロン排出抑制法に係るQ&A(令和8年3月更新)」
本体を産業廃棄物として委託する場合はマニフェストを管理する
引取証明書がフロン回収の完了を確認する書類なのに対し、マニフェストは製氷機本体の収集運搬から最終処分までを追跡する書類です。
本体を産業廃棄物として委託するときは、収集運搬業者・処分業者と書面で契約し、引き渡し時に紙または電子のマニフェストを使用します。
紙の場合は、返送された写しで運搬・処分の終了日や最終処分先などを確認したうえで、受領日から5年間保存してください。
電子マニフェストでも処理終了の通知を確認し、期限内に報告がない場合や記載に不審な点がある場合は処理状況を確かめます。
参考:環境省「排出事業者責任に基づく措置に係るチェックリスト」
適正な処分業者を選ぶ3つの確認ポイント
処分業者は、提示された金額だけで判断せず、依頼条件と対応内容が一致しているかを契約前に確かめてください。
ここでは、依頼先を比較するときに押さえる3つのポイントを解説します。
必要な許可と取り扱える産業廃棄物の種類を確認する
依頼候補の業者から許可証の写しを受け取り、許可区分、有効期限、事業範囲を照合してください。
収集運搬と処分では許可が分かれ、取り扱える産業廃棄物の種類や処分方法も業者ごとに異なります。
製氷機の処理内容が事業範囲に含まれていなければ、その業者には委託できません。
業者の説明だけで判断せず、産廃情報ネットや許可自治体の公開情報でも登録状況を確かめてください。
撤去から最終処分までの担当範囲を確認する
依頼時は製氷機の撤去から最終処分までを一社が担当するのか、工程ごとに別の業者が担当するのかを確認してください。
「一括対応」と案内されても、受付会社がすべての作業を自社で行うとは限りません。
窓口会社だけでなく、各工程を実際に行う会社名と担当内容を書面で提示してもらい、作業体制を把握します。
対応外の工程があれば、依頼者と業者のどちらが手配するのかを契約前に決めてください。
参考:環境省「排出事業者責任に基づく措置に係るチェックリスト」
見積書で追加料金と作業日程を確認する
見積書では、作業項目ごとの金額、追加料金が発生する条件、キャンセル料、税込総額を確認してください。
口頭で提示された条件も追記してもらい、当日に想定外の請求を受ける事態を防ぎます。
日程は作業日だけでなく、訪問時間、所要時間、搬出完了予定まで書面で確定します。
ほかの工事や機器の搬入と重なる場合は、作業順序と当日の立会者を業者へ伝えてください。
まとめ|所有形態・冷媒・状態・費用・依頼先の5点を確認する
業務用製氷機を手放す際の判断材料は、次の5点に整理できます。
上から順に情報をそろえると、返却・売却・廃棄の選択から業者への相談まで順序立てて進められます。
- ✅所有形態:自社所有かリース品か、および返却条件
- ✅冷媒:銘板に記載された冷媒の種類とフロン類の使用有無
- ✅状態:製造年、動作状況、故障箇所
- ✅費用:見積もりの内訳と追加料金が発生する条件
- ✅依頼先:許可の範囲、担当する工程、作業日程
まずは契約書と銘板を確認し、本体、設置状況、故障箇所が分かる写真を用意してください。
そろえた情報をもとに返却・売却・廃棄から方法を選び、対応する業者へ見積もりを依頼します。
業務用製氷機の処分でよくある4つの質問
中古の製氷機として売却・譲渡する場合、フロンは回収しますか?
製氷機として再使用する目的で売却・譲渡する場合、フロン排出抑制法上の「第一種特定製品の廃棄等」には該当しません。
そのため、廃棄時のフロン回収は行わず、製氷機として使用できる状態で買い手や譲渡先へ引き渡します。
売却時は、管理者が保存している点検整備記録簿を、製氷機とともに新しい所有者へ引き継いでください。
部品取りや金属資源として渡す場合は再使用に当たらず、廃棄等としてフロン回収と書類管理の対象になります。
フロンを回収した製氷機は冷媒を再充塡して使用できますか?
フロンを回収した製氷機でも、故障や冷媒漏れがなく、安全に運転できる状態であれば冷媒を再充塡して使用できます。
冷媒漏れが見つかった場合は、漏えい箇所を特定して修理を終えるまで、原則として再充塡できません。
再充塡は、都道府県知事の登録を受けた第一種フロン類充塡回収業者へ依頼し、機種に適合する冷媒の種類と充塡量を確認します。
回収した冷媒を同じ製氷機へ戻す場合も、充塡基準に沿った作業と充塡証明書の交付を受けてください。
【参考】
ノンフロン製氷機はどのように処分しますか?
ノンフロン製氷機は、冷媒としてフロン類を使用していないため、フロン排出抑制法の第一種特定製品には該当しません。
そのため、廃棄時のフロン回収や、回収依頼書・引取証明書などによる行程管理は対象外です。
一方、本体の処分方法は冷媒の種類ではなく、事業活動で生じた廃棄物の材質や構造に基づいて決まります。
銘板で型番と冷媒名を確認し、自分で配管を切ったり冷媒を抜いたりせず、その情報を処理業者へ伝えてください。
【参考】
回収前に製氷機内の氷や水を抜きますか?
回収前はストッカー内の氷をすべて取り出し、取扱説明書に沿って製氷機内部と給水配管の水を抜きます。
氷や水が残っていると搬出中の水漏れにつながるため、排水後は庫内を清掃して十分に乾燥させてください。
機種によっては電源を使った排水運転を行うため、手順を確認せずに電源を切ると内部に水が残ります。
取扱説明書がなければ型番をメーカーへ伝えて停止方法を確認し、回収業者とも準備する範囲を共有してください。














