金属くずは、工場や建設現場などの事業活動で発生した金属の破片や部品を指し、産業廃棄物として適切な処理が必要です。
具体的には鉄の端材、配管、ボルト、ナット、切削くずなど、現場で日常的に発生する多くの金属が該当します。
見た目が同じ金属でも、産業廃棄物になる場合と有価物として売却できる場合がありますが、処理や手続きを間違えると法令違反につながる可能性があります。
筆者も当初、有価物の判断がわからず産業廃棄物として処理してしまい、無駄なコスト的を発生させたことがありました。
このような混乱を防ぐには、定義、具体例、処理・リサイクル方法などを正しく理解することです。
本記事では金属くずの判断基準と産業廃棄物としての正しい処理・リサイクル方法をわかりやすく解説します。
金属くずとは何か?【産業廃棄物としての基本】
金属くずは、事業活動の中で不要になった金属類を指し、産業廃棄物として扱われる種類の一つです。
鉄やアルミなどの金属であっても、すべてが同じ扱いになるわけではなく、発生状況や管理状態によって分類が変わります。
誤った判断のまま処分すると、廃棄物処理法違反につながる可能性があり、適切に対応するためには法律上の定義と判断基準を正しく理解することです。
ここでは、金属くずの定義、産業廃棄物に該当する条件、有価物との違いについて解説します。
金属くずの法律上の定義
金属くずは環境省の分類で、鉄、アルミニウム、銅、ステンレスなどの金属製品の端材や破損した部品、切削工程で発生する金属片などが該当します。
例えば、機械加工で発生する切削くずや、解体工事で発生した鉄骨の一部は、金属くずとして扱われます。
重要なのは形状や大きさではなく、「不要になった金属であること」です。
粉状、板状、塊状など形に関係なく、事業活動で不要になった金属は金属くずに分類されます。
出典:環境省 産業廃棄物の種類
産業廃棄物になる条件は「事業活動」
金属くずが産業廃棄物になるかどうかは、「事業活動によって発生したか」です。
廃棄物処理法では、事業で発生した金属類は排出した事業者が責任を持って処理する必要があります。
例えば、工場で発生した鉄の端材や、解体工事で取り外した配管は、産業廃棄物として扱われます。
事業活動で不要になった時点で産業廃棄物に該当するため、売却予定があっても適切な管理が求められます。
出典:環境省 廃棄物の定義
スクラップ(有価物)との違い
金属くずは産業廃棄物として扱われますが、再利用や売却が可能な場合は「有価物」として扱われることがあります。
有価物とは、処理費用を支払うのではなく、対価を受け取って引き渡すことができる金属を指します。
例えば、分別された鉄スクラップやアルミは、金属リサイクル業者に売却されるケースがあります。
ただし、保管状態が悪い場合や、他の廃棄物と混ざっている場合は有価物として認められない場合もあります。
有価物で取引する場合は注意が必要で、郵送費や人件費などが売却額を上回る場合は、産業廃棄物の扱いとなるためマニフェストが必要になります。
筆者はこのあたりはまだ混乱してしまう事例ですので、迷うことがあれば引き取り業者に必ず相談しましょう。
また、金属くずは有価物が故に盗難が年々増加しているため令和7年に法律が施行されました。
金属くずの具体例一覧や代表例
金属くずはさまざまな業種で発生し、形状や用途も多岐にわたります。
鉄骨の一部のように明らかに金属と分かるものだけでなく、小さな部品や加工時に出る金属片も対象になります。
見落とされやすい金属を一般廃棄物として処理すると、ペナルティ対象になる可能性があるので注意しましょう。
実際の現場で発生しやすい具体例を把握しておくことで、分類の判断がしやすくなります。
ここでは、工場、建設現場、オフィスなどで発生する代表的な金属くずを解説します。
工場でよく出る金属くず
工場では製品の加工や組立の過程で多くの金属くずが発生します。
特に多いのは旋盤やフライス盤などの加工で発生する切削くずや、材料を切断した際に残る端材です。
具体例としては鉄やステンレスの切削くず、アルミの削りかす、不良品となった金属部品などが該当します。
これらはサイズが小さくても、事業活動で不要になった金属のため、産業廃棄物として適切に処理する必要があります。
筆者も機械加工の現場で、床に溜まった切削くずを一般ごみとして処分しそうになりましたが、すべて金属くずとして回収する必要があると指摘を受けました。
加工工程で発生する金属片も例外なく対象です。
建設・解体現場で出る金属くず
建設や解体の現場では、建物の構造や設備に使用されていた金属が金属くずとして発生します。
代表的な例は鉄骨の一部、配管、ダクト、手すり、金属製の支持金具などです。
設備の撤去時には電線の金属部分や空調機器の金属部品も対象になります。
これらも建設工事や解体工事という事業活動で発生するため、産業廃棄物として処理が必要になります。
小さな金属部品であっても対象になるため、他の廃材と混ざらないように分別して保管することが重要です。
オフィス・設備で出る金属くず
オフィスや事業所でも、設備の更新や備品の交換によって金属くずが発生します。
例えば、金属製の棚や机のフレーム、空調設備の部品、照明器具の金属部分などが該当します。
これらは日常的に大量に出るものではありませんが、事業活動に伴って不要になった時点で産業廃棄物として扱われます。
筆者も事務所のレイアウト変更で金属製ラックを撤去した際、粗大ごみとして処分できると考えていましたが、事業所から排出されたため産業廃棄物として処理が必要でした。
事務機器や設備の金属部分も対象になるため、自治体の一般ごみとして出さないよう注意が必要です。
迷いやすい金属くずの例(ボルト・工具など)
小さな金属部品は、金属くずに該当するか判断に迷いやすいものです。
代表的な例として、ボルト、ナット、ビス、金属製ブラケット、壊れた工具の金属部分などがあります。
これらはサイズが小さくても、事業活動で不要になった時点で金属くずとして扱われます。
特に木材やプラスチックに金属が付いている場合は、分解して金属部分を分別する必要があります。
混合したまま処分すると、別の産業廃棄物として扱われることがあるため注意が必要です。
判断に迷う場合は、処理業者や管理担当者に確認し、金属として分別しておくと安全です。
金属くずと一般廃棄物・有価物との違い
金属製の不要物はすべて同じ方法で処理できるわけではありません。
事業所から排出された場合は産業廃棄物になりますが、家庭から出た場合は一般廃棄物として扱われます。
また、再利用できる状態で価値がある金属は、有価物として売却できる場合があります。
この分類を誤ると法令違反につながる可能性があります。
適切に対応するためには、発生場所と管理状態による違いを理解することです。
ここでは、一般廃棄物との違い、有価物として扱われる条件、判断を誤った場合のリスクについて解説します。
家庭ごみとの違い
同じ金属製品でも、家庭から出た場合と事業所から出た場合では扱いが異なります。
家庭で使用していたフライパンや自転車などは一般廃棄物として自治体が処理します。
一方で繰り返しになりますが、事業活動で不要になった金属は産業廃棄物になります。
過去に筆者も事務所で使用していた金属製の椅子を自治体の粗大ごみに出そうとしましたが、事業所からの排出物は自治体では回収できないと指摘を受けました。
排出元が事業所である場合は自治体のごみ収集ではなく、許可を持つ処理業者へ委託する必要があります。
売れる金属は廃棄物にならない場合がある
金属は資源価値が高いため、状態によっては廃棄物ではなく有価物として扱われます。
有価物とは、処理費用を支払うのではなく、対価を受け取って引き渡せる金属を指します。
例えば、分別された鉄スクラップやアルミは、スクラップ業者に買い取られることがあります。
ただし、他の廃棄物と混ざっている場合や、処分目的で引き渡す場合は産業廃棄物と判断されます。
売却できるかどうかは素材や保管状態など複数の要素で判断されるため、事前に処理業者へ確認することです。
有価物としての金属くず、種類別費用相場
| 金属の種類 | 買取価格(円/kg) | 備考 |
|---|---|---|
| 鉄くず | 買取価格:40~60円/kg | 有価物として取引された場合 |
| アルミニウム | 買取価格:80~150円/kg | 有価物として取引された場合 |
| 銅 | 買取価格:600~900円/kg | 有価物として取引された場合 |
| ステンレス | 種類により変動 | 有価物として取引された場合 |
| 真鍮 | 買取価格:400~600円/kg | 有価物として取引された場合 |
引用:【産業廃棄物】金属くずの完全ガイド – 行政書士岩田雅紀事務所
金属くずのリサイクルと処理について
金属くずは現在の技術でリサイクル率は約95%となっています。
リサイクルの工程は大きく分けて2つ「金属回収」と「金属精錬」になります。
リサイクルが困難なものは最終処分場に運ばれて適切な埋め立て処理が行われます。
リサイクルのための「金属回収」と「金属精錬」について
「金属回収」と「金属精錬」についてもう少しわかりやすく、表で解説します。
| 金属回収 |
|---|
| 廃棄物の中から鉄・金・銀・銅などの金属を収集する手法。 電子機器の構成部品であるプリント基板(PCB)からは、金や銀を取り出せます。 一般的には意外な物から金属を取り出せるパターンが多いです。 |
| 金属精錬 |
|---|
| 不純物が多い金属から純度の高い金属を取り出すこです。 鉄、アルミニウム、銅などの金属は何度も精錬可能なので、一定の資源で継続的に再生利用されています。 ちなみに、精錬方法は主に3種類で湿式・乾式・電解精錬があります。 |
金属くずで特に注意すべきポイント
金属くずは資源価値がある一方で、法律ができるほど盗難被害が相次いでいるようです。
また、他の廃棄物との混合や無許可業者への委託は排出事業者の責任が問われる原因になります。
処理を業者へ任せる場合でも、排出した側が適切に管理する義務があります。
トラブルを防ぐためには、基本的な注意点を事前に把握・理解しておくことです。
ここでは、金属くずを安全に処理するために特に重要なポイントを解説します。
他の廃棄物と混ぜない
金属くずは、他の産業廃棄物と分けて管理する必要があります。
木くずや廃プラスチック類と混ざると、混合廃棄物として扱われ、処理工程が複雑になります。
その結果、選別作業が必要になり、処理費用が増加する場合があります。
また、リサイクルが難しくなり、資源として再利用できない可能性もあります。
金属専用の容器や保管場所を用意し、発生した時点で分別することが重要です。
適切な分別を行うことで、安全な処理と資源の有効活用につながります。
無許可業者に依頼しない
金属くずの収集運搬や処理は、都道府県や政令市の許可を受けた業者にのみ委託できます。
許可のない業者へ引き渡した場合、不適正処理とみなされ、排出した事業者にも責任が及びます。
特に、「無料回収」や「高価買取」をうたう業者の中には、必要な許可を持たないケースがあります。
筆者の現場でも、安価な回収を提案する業者がいましたが、許可証を確認すると収集運搬の許可を持っていませんでした。
契約前には、産業廃棄物収集運搬業の許可番号と対象品目に金属くずが含まれているかを確認することです。
迷った場合の確認方法
金属くずに該当するか判断できない場合は、自己判断で処分を進めないことです。
確認先としては、産業廃棄物処理業者、自社の管理担当者、自治体の廃棄物担当窓口などがあります。
筆者も金属とプラスチックが組み合わさった部品で迷ったので担当部署に確認したところ、分解して金属部分のみ分別する必要があると教えられました。
事前に確認することで適切な処理方法を選択できるのでトラブルを防ぐことができます。
産業廃棄物「金属くず」とは?まとめ
金属くずは事業活動で不要になった金属で、産業廃棄物として適切な管理と処理が必要ですが現在はほぼリサイクルできます。
しかし、最終的に処分することになれば分類や処理方法を誤ると、法令違反やトラブルにつながる可能性があります。
発生場所と管理状態を基準に判断し、許可業者へ適切に委託することです。
押さえておくべきポイント
- ✅事業活動で発生した金属は産業廃棄物になる
- ✅小さなボルトや切削くずも対象になる
- ✅有価物として盗難が年々増加している
- ✅現在の技術で金属くずはほぼリサイクルできる
- ✅無許可業者への委託は排出事業者の責任が問われる
金属くずは廃棄物であると同時に、重要な資源でもあります。
正しい知識を身につけておくことで、法令を守りながら安全に処理・リサイクルできます。
判断に迷った場合は、必ず処理業者や自治体へ確認し、適切な対応を行いましょう。
金属くずについてよくある質問をまとめて解決
金属くずの管理では、処理・リサイクル方法だけでなく許可や手続きに関する疑問も多く発生します。
特に金属くず商許可や自社運搬の可否などは、実務で確認が必要になる場面があります。
筆者も費用感がわからなかったので確認をしたことがあります。
ここでは、実務でよくある疑問の中から、本文で触れていない内容を解説します。
金属くずを自分で処理施設へ運ぶことはできますか?
排出事業者が自社の廃棄物を自ら運搬することは可能です。
この場合、収集運搬業の許可は不要ですが、運搬基準を守る必要があります。
飛散防止や適切な表示などの措置が求められます。
処理施設は、金属くずの受入が可能な許可施設を選ぶ必要があります。
金属くず商許可とは何ですか?
金属くず商許可は、盗難品の流通防止を目的とした都道府県の許可制度です。
スクラップの売買を行う業者が対象であり、排出事業者が処理を委託する場合は通常不要です。
ただし、スクラップとして売却する場合は、許可を持つ業者を選ぶことが安全です。
錆びている金属もリサイクルできますか?
錆びていても、多くの場合はリサイクル可能です。
製鉄工程では高温で溶解されるため、表面の錆は大きな問題になりません。
ただし、油や異物が多く付着している場合は、追加処理が必要になることがあります。
金属と他素材が一体化している場合はどうなりますか?
金属とプラスチックやゴムが一体化している場合は、可能な範囲で分解して分別します。
分解できない場合は、混合廃棄物として処理されることがあります。
処理方法は施設によって異なるため、事前確認が重要です。
金属くずの処理費用はどのように決まりますか?
平均的に、1キログラムあたり1〜40円ほどで処理されるパターンが多いようですが、費用は主に以下で変わります。
- ✅金属の種類
- ✅分別状態
- ✅重量
- ✅運搬距離
鉄など価値が高い金属は、費用がかからない場合や買取になる場合もあります。



